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この関数は個数nからk個のものを選ぶ時の組合せの数を求める式となっています. この式の係n!

k!(n−k)! を二項係数と呼びます. この係数式は(n

k

),またはCn,knCkと記述される場合も あります. 数式処理の機能でこの係数を求める場合は

(n

k

)

と記述してください.

◮ 二項係数の記述方法 (n

k )

1. 数式オブジェクトツールバーの二項式のアイコン をクリック,または挿入+二項式と します.

2. 線種は無しを選択して, OKボタンをクリックします. 3. 入力ボックスに数値を入力します.

◮ 計算 (5

2 )

= 10

(35 7

)

= 6724 520

二項係数の表記を分数式に変換する場合は書換えコマンドを利用します.

◮ 書換え+ 階乗 (m

n )

= m!

n! (m−n)!

(m 5

)

=1201 m!

(m−5)!

2.3 実数

整数や分数(有理数)などを実数と呼びます. 無理数の

2πなど,整数の商を使って表現でき ない数も実数に含まれます.

Reminder 計算に利用する数値の入力は必ず数式モードで行います. 数式モードで入力した情報

は画面に赤い色で表示されます. 赤い色で表示されていない文字や数字を数式に変更する場 合は, をクリックするか,または挿入+数式とします.

2.3.1 基本的な計算方法

整数と分数を計算した結果は普通,分数で表示されます. しかし,計算の対象となる数値のうち浮 動小数点形式の物がある場合,計算結果はやはり浮動小数点形式で表示されます. √

2πなどの 実数は数値計算コマンドを使った場合のみ,実際の数値で計算されます. 次の式を計算する場合, 式中にカーソルを配置して計算,または,数値計算のコマンドを選択します.式を計算し,計算結果 で置換する場合はctrl+shift+eとします.

◮ 計算 (またはctrl + e) 9.6π−2.7π= 6.9π 42(2

3+17)√ 2 = 34√

2

◮ 数値計算

9.6π−2.7π= 21.677 42 (2

3+1 7

)√

2 = 48.083

数式の計算およびその値を置換するには,ctrl+shift+eを押すか,マウスで数式を選択する

か,shift+矢印を押し,ctrlを押しながら計算を選択します.

◮ ctrl+計算(またはctrl+shift+e) 235.3 + 813, 1048.3に置換されます.

◮ ctrl+ 計算(またはctrl+shift+e) 42

(2 3+1

7 )√

2, 48.083に置換されます.

数 値 計 算 に お け る 有 効 桁 数 は,計 算 エ ン ジ ン 設 定メ ニ ュ ー の 一 般 タ ブ で 行 な い ま す. 詳 細 は28 ページを参照してください.

浮動小数点形式の数値を有理数に変換する場合は,数式処理メニューから書換えを選択します.

◮ 書換え+有理数

0.125 =18 4.72 = 11825 6.9π=6910π 3.1416 =39271250

有理数や記号を使った数式を浮動小数点形式に変換する場合は数式処理メニューから書換えを選 択します.

◮ 書換え+浮動小数点

1

8 = 0.125 11825 = 4.72 6910π= 21.677 39271250= 3.1416

数式モードで“float”と入力すると灰色で関数floatが表示されます. floatを使って計算を実行す ると浮動小数点形式の値が求められます.

◮ 計算 float(1

8

)= 0.125 float(118

25

)= 4.72

2.3.2 累乗とルート

累乗表記の値を計算する場合は,入力した式に対して計算コマンドを実行します.

◮ 計算

• ルート記号を入力したい場所にマウスカーソルを置きます.

– 数式テンプレートツールバーのルートボタン をクリックします. または

挿入+ルートを選びます. または

– ctrl + rまたはctrl + 2を押します.

入力ボックスにマウスカーソルが配置されて,テンプレートが現れ,すぐに数値または式を入力で きます.

画面上で入力ボックスを表示するには,表示+入力ボックスを選びます.

◮ 上付き文字(下付き文字)のテンプレートを表示する

上付き文字(下付き文字)を入力したい場所にマウスカーソルを置きます.

2.3 実数 25

挿入+上付き文字(下付き文字)を選びます. または

– 数式テンプレートツールバーの上付き文字ボタン (下付き文字ボタン ) クリックします.

または

– ctrl + hまたはctrl +上矢印またはctrl + 3(ctrl + l またはctrl + 矢印またはctrl + 4)を押します.

入力ボックスにマウスカーソルが配置されて,テンプレートが現れ,すぐに数値または式を入力で きます.

画面上で入力ボックスを表示するには,表示+入力ボックスを選びます.

◮ 計算

34= 81 3−4= 811

2.34 = 1.5297 (2.5)45 = 2.081 4 (2

5

)32

= 42949 67296

232 83064 36538 69628 90625 0.432= 1.844 674 407×10−13 ここでひとつ注意すべきことがあります. たとえば(2

5

)32

と(0.4)32の計算結果は異なる値になり

ます. 数学的な厳密さで言えば,(2

5

)32

の計算結果が正確であると言えます. (0.4)32 は有効数字 10ケタでの表示になりますので,誤差が発生します. 指数とルートに関する計算では,実数のルー ト計算に関して答えが若干異なります.

ルート記号

代数や小数点形式で入力した正の実数に対して, MuPADにはそのn乗根を求める機能が用意さ れています. 計算コマンドを実行することによって,記号を利用した代数式であれ,小数点形式の 式であれ,式の計算を実行します. また,小数点形式の値に対して複素数根を求める機能がありま す. 詳細は36ページを参照してください.

◮ 計算

3

0.008 = 0.2 √

24 = 2√

6 √

9

4π2=32π √3

16 27=133

16

4

16 = 2 √3

−8 =−2 √5

18.234 = 1.787 2 √5

−18.234 =−1.787 2

◮ 簡単化

3

16 27=233

2 √4

162π6= 3√432

数 式 に よ っ て は 関 数simplify を 使 っ た 方 が 効 率 的 に 計 算 で き る 場 合 も あ り ま す. 数 式 モ ー ド で

“simplify”と入力すると自動的に灰色の表示に変わります.

◮ 計算 simplify(

3

1627)

=−233

2 simplify(√4 162π6)

= 3π324 2

ルートの指数表記

ルートを指数表記する場合,指数部分にどのような値でも入力することができます. 整数を指数 表記に変換してもルート記号が付くだけですが,小数点形式で式を記述した場合は,式が計算され ます.

◮ 計算

(16)14 = 2 (−8)13=√3

−8 (0.008)13= 0.2 (24)12 =√ 24 (3.1416)2.7183= 22.460 (−0.008)13 = 0.1 + 0.173 21i

◮ 簡単化 (16)14 = 2√4

16 (−8)13 = 2√3

−1 (−0.008)13= 0.1 + 0.173 21i

数値計算のコマンドを実行すると実数値の計算結果が表示されます. 負の実数の奇数乗の根を計算 すると,複素数根が計算されます. 詳細は36ページを参照してください.

◮ 数値計算

813= 2.0 πe= 22.459 2 (−8)13= 1.0 + 1.732 1i

2.3.3 分母の有理化

分母を有理化する方法を説明します. カーソルを分数に配置します. そして数式処理メニューから 簡単化を選択します.

◮ 簡単化

√1 2=12

2 1

√2 +√ 3=−√

2 +√ 3

√2 +√

√ 3 5−√

7= −12√ 2√

7−12√ 2√

5−12√ 3√

7−12√ 3√

5

2.3.4 数値の近似計算

数式処理を実行した計算結果は数値や記号を使って表記されます. このうち数値で表示されるもの は,有効桁数や表示桁数の関係から近似値で表示される場合があります. なぜなら,数値計算の結 果を浮動小数点形式で表記したい場合は,数式処理メニューから数値計算コマンドを選ぶか,また は,元の式の数値を小数点を使って入力して計算を実行します. 小数点を使って入力した値は自動 的に有理数ではなく,浮動小数点形式の数値として認識されますので,その数値の演算を行った結 果,近似値が画面に表示されることになります. 例外として,π,e,√

2などの記号の値は,計算コ マンドで処理しても,そのままの形式で画面に表示されます.

したがって,数値解析を行なうということは,浮動小数点形式の値を使った誤差解析と言い換える ことが出来るかもしれません.浮動小数点形式の演算においては常に丸め誤差や,無限長の値を有 限長の値で置き換えるために短縮誤差が発生します. また,浮動小数点法はハードウェアによって も精度が異なります.そもそも,浮動小数点形式で表現される数値は有理数,無理数のどちらでも ありません. すなわち,浮動小数点形式の数値は有理数や無理数の近似値を表しているに過ぎない のです.

数式処理システムでは有限精度や拡張精度と呼ばれる精度を使って整数や有理数を正確に表現し ています. 例えば, sin 1,√

2,π,eなどをそのまま計算に利用すれば,精度を失うことはありませ ん. しかし,計算エンジン設定にある数式処理の有効桁数や,数式処理設定にある計算結果表示桁 数の項目によって, 数値計算のコマンドの計算結果である近似値は大きく影響されます. 有効桁

2.3 実数 27

数,表示桁数をそれぞれ25桁に設定した時の例を次に示します. 詳細は28ページを参照してくだ さい.

sin 1 = 0.841 470 984 807 896 506 652 502 3

√2 = 1.414 213 562 373 095 048 801 689 π= 3.141 592 653 589 793 238 462 643 e= 2.718 281 828 459 045 235 360 287

小数点以下の値を見やすくするため,近似値は小数点以下で3桁ごとに区切って表示されます. 値の精度は右側に行くにしたがって低くなります. 次の例をご覧ください.

(√ 2)2

= 2 ところが有効桁数25桁で計算すると

1.414 213 562 373 095 048 801 6892= 2.000 000 000 000 000 000 000 001 のようになります.

比較のため,計算コマンドと数値計算コマンドの計算結果を次に示します.

計算 数値計算

82÷37 = 8237 82÷37 = 2.216 2 936/14 = 4687 936/14 = 66.857 93.6/1.4 = 66.857 936/14.0 = 66.857

√234 = 3√

26 √

234 = 15.297

表示桁数と科学記数法での桁数の設定は数式処理設定ダイアログで行ないます.計算に利用する有 効桁数の設定は数式処理エンジンの設定ダイアログで行ないます. 詳細は後述します.

2.3.5 科学記数法

ゼロでない実数xは次のように記述できます. x=c×10n

ここで1≤c <10nは整数です.このような記述形式を科学記数法と呼びます.

12 = 1.2×10 8274.9837 = 8.2749837×103 0.000001234 = 1.234×10−6

−54163.02 =−5.416302×104

◮ 科学記数法での表記方法

1. cに小数点以下の数を持つ数値を入力します.

2. 記号キャッシュツールバーまたは,二項演算子のパネル から×を選択します. 3. 10を入力します.

4. 挿入+上付き文字,または をクリックして整数,nを入力します. これらの操作をキーボードショートカットで行うこともできます.

◮ キーボードショートカットによる科学記数法入力 1. 数式モードでcに相当する数値を入力します. 2. 続けて数式モードのままtttと入力します.

(3文字のtは自動的に×10に置換されます. 上付き文字の入力ボックスが表示されない時 は,表示+入力ボックスをチェックします.)

3. 上付き文字の入力ボックスに整数nを入力します.

数値演算の結果によっては答えが自動的に科学記数法で表示される場合があります. これは数値の 桁数が科学記数法の設定桁数に達しているためです. 設定の変更方法は29ページを参照してくだ さい.

2.3.6 数式処理と計算結果の表示方法

数式処理の際に適用する有効桁数と,その計算結果を表示する際の桁数は,それぞれ別に定義しま す. ツールメニューにある数式処理設定と,計算エンジン設定でそれぞれの設定を行ないます. 章ファイルごとに数式処理の桁数に関する設定を変更する場合は,数式処理メニューの数式処理設 定を選び,デフォルトを変更します. 計算結果の精度と表示方法に関する設定を細かく調整でき ます.

数式処理の有効桁数

◮ 数式処理に関する有効桁数のグローバル設定

1. ツールメニューから計算エンジン設定を選択します. 2. 一般のタブをクリックします.

3. 有効桁数のボックスで値を変更します.

桁数を増やせば精度は向上しますが,計算時間は長くなります. 複雑な計算を行なう時にこの設定 を変更し,計算時間と精度の関係をチェックしてみましょう.